海の中に広がる幻想の世界、ダイバーを魅了するサンゴ礁の実態
サンゴはどんな生き物?
画像提供:カタダイビングサービス
ダイビングは、日常では見ることができない、海の中の景色を眺めるのも醍醐味といえます。その幻想的な世界を創り出しているもののひとつはサンゴ礁。その魅力に惹かれてダイビングをしている人も少なくありません。
でもそのサンゴ礁、あなたはよく知っていますか?その特徴と役割を、ダイビング前にしっかり学んでおきましょう。
サンゴの種類は800種類
一般にはあまり知られていないサンゴの生態。植物と思われていますが、実は動物。クラゲやイソギンチャクの仲間です。ポリプと呼ばれる個体が分裂して群体を作り、サンゴ礁は、多様なそれらの生物が高い密度で生息している状態のことをいいます。
サンゴは世界で800種類あると言われています。比較的温暖、浅くてきれいな海域に生息しているのが特徴で、世界で見ていくとオーストラリアのグレート・バリア・リーフが有名です。
日本では、南西諸島や伊豆諸島、小笠原諸島などがありますが、やはり代表的なのは沖縄。沖縄では200種類のサンゴが確認され、世界的にもサンゴの多い海域なのです。
沖縄の造礁サンゴには、ハナヤサイ、ミドリイシ、コモンなどと呼ばれるサンゴが多く生息しており、枝分かれしたようなもの、テーブルのような平たいもの、キャベツなどの野菜を連想するようなものなど、様々な形のサンゴ礁を見ることができます。
まさにこれらが、うっとりするような幻想の世界を創り出しています。
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地球環境におけるサンゴの役割
サンゴは、動物ですが植物と同じように二酸化炭素を吸収し、酸素を生成する役割を持っています。特に二酸化炭素の吸収率は1平米で4.3キログラム/年で、陸上の植物よりも多いのです。
ほかの生物と共存し、防波堤としての役割も持っているばかりでなく、海を浄化する重要な役割も持っています。これは地球全体のクリーン化にも大きな影響をもたらしているのです。
デリケートな生き物
サンゴ礁はとてもデリケートな生き物。水温や紫外線の変化でも生存が難しくなってしまうほど。
沖縄県の石垣島と西表島の間にある「石西礁湖」でも、大規模な白化現象が進んでいます。白化現象は、サンゴが共生させている褐虫藻という単細胞藻類が抜けてしまうことで、これが長時間続くと、サンゴは死んでしまうのです。
沖縄では海水温の高い状態が続き白化は進行。今年1月環境省は、「石西礁湖」で70.1%のサンゴが死滅したと発表しています。
サンゴ礁における人間の役割
でも、一番彼らの存在を脅かしているのは私たち人間です。生活排水による水質汚染、土地開発による破壊、ゴミの放棄など、様々な形で影響を与えています。
環境にデリケートなだけでなく、とてももろく物理的な影響も破壊につながります。ダイビングをするときも、体のバランスを崩してサンゴに手をついてつぶしてしまった、蹴って折れてしまったなどの例もあります。またサンゴにぶつかることでダイバーにも怪我をする恐れがあります。
楽しいダイビングのはずが、生き物に対する罪悪感で終わってしまってはとても残念です。バランスよく泳ぐ、できるだけ距離を保って眺めるなど、テクニックと同時にルールやマナーを学ぶことで、海の財産を守ることができるのです。